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「風をつかまえた少年」を読んで

 

 少年が生まれたマラウィという国は、日本とは何もかも対照的。日本では当たり前の、電気・ガス・水道・下水などのインフラが一般家庭まで届いていない。日が暮れると、電気がないので、灯油のランプを点灯する。水汲みに往復2~3時間もかかる。水洗トイレでないため衛生状態も最悪。貧しい農家がほとんどで、自給自足のような生活をしており、お金がなければ小学校・中学校にも行けない。干ばつに見舞われると、主食の収穫ができず餓死する者もいる。 

 少年は、自転車のランプが車輪の回転で発電された電流で点灯すること。また、その電気でラジオも聞けることを実験で確かめ、風車の回転による発電を思いつく。(自分は電気の分野に疎いため、この本の直流・交流を説明する部分が読み取れていない。ラジオは交流だが、自転車のランプは直流であるらしい。)学校にも通えず、図書館で科学や英語の勉強をし、廃棄場から集めた自動車やトラクターの部品、そして父親のほとんど使わない自転車から、少年は風車発電を実現してしまう。わずか14歳の少年が、学校で習ったわけでもないのに、ほとんど独学で風力発電を実現したことに、心地よい驚きを感じる。

 ところで、東日本大震災以降、我が国のエネルギー政策は迷走している。①原発の信頼性が大きく低下する中で、国民の合意を得ながらどこまで原発に期待するのか、②地球環境問題から、化石燃料との付き合い方をこれからどのように変化させるのか、③再生可能エネルギーの実用化をどこまで本気で進めるのか、などなど簡単に答えの出せそうな問題ではない。  

 この本の最後の言葉、“If you want to make it, all you have to do is try.” 

(それを実現したいなら、やってみることだ。) をかみしめながら勇気を持って前に進みたい。